2019年2月23日

2022年に多くの生産緑地が優遇措置を終了します。生産緑地は、土地利用を農地や緑地に限定する代わりに、固定資産税や相続税を優遇。都市化が進み自然が減るのを抑えるため、生産緑地法改正で1992年から実施されました。2022年を迎えると、30年間としている生産緑地に対する相続税の支払い猶予などの優遇措置が切れ地主さんは10年の指定延長か、自治体への買い取り申請を選べるが、財政に余裕のない自治体が買い取ることは難しいので地主さんが農業の継続を断念して一斉に土地を手放せば、宅地への転用が急増し、地価が下落するリスクが膨らみます。これが生産緑地をめぐる「22年問題」です。国交省や自治体は空き家問題を抱え、むやみな宅地の増加を懸念しています。農地の保全や農家の育成を掲げる農水省も、安易な農地の減少は受け入れにくい立場です。非効率な農地を無理して残さず、宅地にすれば都市部の住宅価格を抑える効果が見込めますが、政策当局がそろって警戒するのは、長年続く政策の変更が住宅市況に予想外の影響を及ぼす事態です。少子高齢化で人口が減るなか宅地を増やすことで都市の魅力を高めることには限界があります。生産緑地を維持するだけでなく、今後の都市の競争力をどう磨くかという総合的な視点が求められています。