2020年8月29日

新型コロナウイルスによる経済活動の停滞が地価を押し下げ始めました。国土交通省が発表した4月から7月にかけての主要都市100地区の地価動向を見ると、下落した地区数は前回調査(1~4月)の9倍超に急増、小売店や飲食店の集まる繁華街が外出自粛や訪日客急減の影響を受けています。地価の上昇局面は転機を迎えたようです。地価は近年、都市部の再開発や年3千万人を超えた訪日客の旅行需要で上昇を続け公示地価は2020年まで5年連続で上がり、地方でも上昇の動きが広がり始めたところに新型コロナによる経済の急収縮が起きました。下落が目立つのは、外出自粛や休業要請で打撃を受けた繁華街の多い大都市圏。訪日客の増加が地価に与えた影響は、三大都市圏と札幌など地方の大都市で大きいです。その訪日客数は7月まで4カ月連続で前年同月比99.9%減。新型コロナの感染拡大を防ぐための入国制限が続いており、観光客については緩和の時期が見えないままです。また、在宅勤務の拡大に合わせ、都心部のオフィス面積を減らそうとする動きも広がり、オフィスの解約が少しずつ始まり大都市でより顕著になっています。それが地価の停滞や下落につながっています。地価上昇のけん引役だった大都市に地価の下落要因が次々とのしかかっているのが現状です。