2021年5月29日

東京都が発表している「地震に関する地域危険度測定調査」をご存じでしょうか。 東京都は、都内の市街化区域の5177町丁目について、各地域の地震に関する危険性を測定・発表しています。具体的には建物倒壊危険度や火災危険度に加えて、災害時活動困難度を加味した総合危険度を測定し、町丁目ごとの危険性の度合いを5つのランクに分けて相対的評価として東京都都市整備局のホームページ上で公表しています。東日本大震災直後の2011年度の東京都内の中古マンション成約データを利用して分析した結果、危険度が低ければ価格は高く、危険度が高ければ価格は低くなるという合理的な結果となりました。危険度に応じた合理的な価格となっていることは、中古マンション購入者の防災意識が高いことを意味しているのでしょうか。というのも、良好な住宅街は、台地などの安全な高台にあることが多いということもありますし、火災で延焼しやすい木造住宅の密集地域ではないケースが多いことや、比較的敷地に対してゆとりをもって建築されている場所だったり、道路幅員も比較的広い住宅街区となっていたりすることが多いのです。こうした住宅街は、台地であれば地震で揺れが増幅しにくいでしょうし、旧耐震基準の建物が少なくかつ密集していなければ、倒壊や延焼のリスクは少ないですし、仮に火災が発生しても消防活動は比較的スムーズな地域であるはずです。